直径と厚さに分けてご説明致します。
直径:
RC集水井は、セグメント外径が3.55~4.8,5.1~5.7(m)と様々ですが、『建設省(現 国土交通省)河川砂防基準(案)同解説 設計偏(Ⅱ)』P50で「集水井の形状は、円形の井筒であり、その内径は3.5~4.0mが標準である。」とされているため、最小径となる外径3.8m(内径3.5m+セグメント厚さ0.15m×2)が主流になっております。
また、農林水産省構造改善局の『土地改良事業計画設計基準(計画 農地地すべり防止対策)』P107では、「集水井の内径は一般に3.0~3.5mとする。」としながらも、「ただし、集水井内での排水ボーリング・集水ボーリングの施工性からは3.5mが望ましい。」としています。
さらに、長野県(土木部)『設計基準(2)』(P10-4-8)のように、集水井の直径(内径)3.5mを標準としている自治体もあります。林野庁『治山技術基準解説 地すべり防止編』(P194) のように「安全性、施工性が確保できる場合はおおむね深さ15m未満の集水井は直径3.0m,その他の集水井は、直径3.5mとすることを標準とする。」としており、RCセグメントが検討されるような軟弱地盤や深い集水井については、施工性を確保する目的で3.5mが適切であると解釈できます。以上から、直径についてはセグメント内径が3.5mが一般的と言えます。
厚さ:
セグメントの厚さに関しては、(社)土木学会発行『トンネル標準示方書(シールド編)同解説』P71の「施工実績によれば、セグメント高さは一般的にセグメントの外径の4%前後の寸法範囲にあるが、大口径の特に中子形セグメントでは、5.5%前後の範囲にある。」を参考にして、セグメント厚さ(150mm)を定めております。
(1)トンネル標準示方書(シールド編)同解説P70
上記の計算の他、RCセグメント集水井の場合、井筒を沈下するにあたり、それ相当の重量や剛性が必要であると共に、製品の輸送や小運搬建込み等のためにクラックが発生しないよう、また、今日までの施工実績から、セグメント厚さを150mmとしています。
『建設省(現国土交通省)河川砂防基準(案)同解説設計偏(Ⅱ)』(P51)によれば、ライナープレートに対してRCセグメントは「一般に地質が砂質地盤等の比較的均質な地盤で、井筒が自重により比較的容易に沈下するような場合、多量の地下水のためボイリングの起こりやすい砂質地盤の場合、およびヒービングの起こりやすい軟弱土質地盤の場合に用いられる。」とされています。
林野庁『治山技術基準解説地すべり防止編』(P193)では、「多量の地下水のためボイリングの起こりやすい砂質地盤の場所又はヒービングの起こりやすい軟粘土質地盤の場合は、井壁の崩落が少なく施工に適している。」とされています。このような理由から、RCセグメントは、
1.活動中の地すべりブロック内に施工する場合
2.深度30mを越えるような集水井(※1)を施工する場合
に用いられてきました。また、温泉地すべり地では、ライナープレートに比べ腐食に強い性質を持つRCセグメントが適しています(温泉地すべり地では、硫化水素系類を多量に含んだ地下水等により金属腐食が予想されるため)
(※1)集水井の深度
下記に一般的な集水井の深度についての基準をまとめました。30m以深の設計の場合、農水省構造改善局『土地改良事業計画設計基準(計画 農地地すべり防止対策)』(P107)のように、「内径を上記の標準径(3.0~3.5m)より大きくするか、安全施設についてより十分な検討を加える必要がある」とされている場合があり、RCセグメント施工時の鋼製刃口(シュー)が、この安全施設に該当すると考えられます。